セビーリャを訪れたら、絶対に見逃してはならないのが、アルカサル (Alcázar) と呼ばれる宮殿です。
石造りの頑丈な城壁に囲まれているし、アルカサルという名前なので、てっきり城塞だとばかり思っていたのですが、城壁の中に入ると、イスラム様式の宮殿が建っていました。
この宮殿、こんなイスラム様式の建物なんですが、実は、14世紀にカスティーリャ国王ペドロ1世(キリスト教徒)により建てられた宮殿なんです。
この宮殿が建てられた14世紀という時代は、セビーリャでは既にイスラム王朝の支配が終わっていましたが(セビーリャのイスラム支配が終わったのは1248年)、グラナダではまだイスラム王朝(ナスル王朝)が支配をしていた時代です(グラナダのイスラム王朝が陥落したのは15世紀末)。
ガイドブック (Lonely Planet) の解説によると、このアルカサルを建てたペドロ1世はキリスト教徒ながら、グラナダのイスラム王朝(ナスル朝)の君主であるムハンマド5世と交流を持っていたんだそう。
で、アルハンブラ宮殿のような宮殿を建てたかったペドロ1世のために、グラナダのムハンマド5世がアルハンブラ宮殿に関わった職人たちを派遣したんだそうです。(ムハンマド5世は、グラナダのアルハンブラ宮殿に数々の改築を行い、最終的に現在のアルハンブラ宮殿の王宮を完成させた人です。)
そんな経緯で出来上がったアルカサルの内部は。。。
美しい中庭。 アルハンブラ宮殿と非常に良く似ています。
そして、数々の美しい部屋。 色調やパターンが部屋ごとに違って、美しい~!!
各部屋の天井も見事です。
こちらは「マリア・デ・パディーリャの浴槽」と呼ばれる貯水槽。宮殿の半地下にあって、とても幻想的です。
アルカサルは、お庭も広くて素敵です。
庭に立つパビリオンの中。
パビリオンの外部はこんな素敵なタイルで覆われています。
いや~、アルカサル、とてもとても美しくて、感激しました!!
ペドロ1世がアルハンブラ宮殿を模倣してこのアルカサルを建てた事、また、アルハンブラ宮殿が改装され完成した時代とこのアルカサルが建てられた時代が近い事から、”アルハンブラ vs アルカサル” ということで、この2つの宮殿はよく比較されるようです。
両方とも甲乙があって、どちらが良いとは一概に言えないのですが、私的に2つを比較してみると。。。
- 各部屋の色彩や装飾は、アルカサルのほうが好き。
- アルハンブラ宮殿は、中庭に使われている噴水の音とか、中庭に迷い込んだ鳥のさえずりとか、視覚だけではなくて聴覚にも訴えてくるものがある。
- アルハンブラ宮殿は丘の上に建っているので、周りの景色が美しい。
- アルカサルのほうが観光客が少ないし、アルハンブラのような時間規制もないので、観光しやすい。
- 街自体としては、グラナダよりもセビーリャのほうが楽しい。
といったところでしょうか。
それにしても、アルカサルを訪れて感動したのは、キリスト教徒の王様がこんなイスラム様式の建物を建てたということ。
背景にある宗教が何であれ、美しい芸術を美しいと認める事ができるというのは、素晴らしいことですよね。
コメント
もうスペイン満載で、ジプシーの血が騒ぎます。
異文化、異教を受け入れ癒合して、素晴らしい文化を継承しているところ、すばらしいですね。
イスラム教は偶像崇拝をしないとかで、遺跡を破壊している似非イスラム、許せません。
今日の技術をもってしても建てられない建造物、街が博物館ですね。 写真がすばらしい!!
エーチャンさん、
アンダルシア地方は、イスラム文化とキリスト教文化が融合して独特の雰囲気を作り出していますね。
写真素晴らしいですか? 実物はもっと素晴らしいです!