ポルトガルのリスボンから出発して、バスや鉄道で移動しながらスペインのエストレマドゥーラ州を周った後は、マドリードから飛行機でフランス南西部のトゥールーズ(Toulouse)にやってきました。
トゥールーズは、パリ、マルセイユ、リヨンに次ぐ、フランス第4の都市。航空宇宙産業が盛んで、エアバスの本拠地でもあります。こう書くと、なんだかとても近代的な大都市のようなイメージが沸くかもしれませんが、実際に訪れてみると、レンガ造りの建物が多く、治安も良く、しっとりと落ち着いた町。観光名所と呼ばれるようなスポットは少ないのですが、なんと言っても街並みが美しく、私はこの街が大好きになりました。
バラ色の町 トゥールーズ
トゥールーズはレンガ造りの建物が多く、そして、使われているレンガが、普通のレンガよりも淡い色をしているため、バラ色の町(Ville Rose)と呼ばれています。

全ての建物がレンガ色というわけではないのですが、レンガ造りじゃない建物でも窓枠にレンガが使われていたりするので、とても統一感があります。

そして、窓についている鎧戸はブルーやグリーンなど、思い思いの色でペイントされているんですが、この、ちょっとくすんだ色合いが、めっちゃお洒落じゃないですか。

思わず、「おフランス」と「お」をつけてしまいたくなる素敵な街並みです。
トゥールーズには3泊したので、丸2日+半日、観光する時間がありました。町にはメトロ(地下鉄)も通っているのですが、宿泊していたホテルから街の中心までは徒歩圏内だったので、メトロは使わずに毎日徒歩で散策を楽しみました。
キャピトル広場と市庁舎
トゥールーズの街の中心となるのは、市庁舎が建つキャピトル広場(Place du Capitole)です。

市庁舎(Le Capitole)は、内部が公開されていて、無料で見学することができます。


絵画や彫刻などの美術品が数多く展示されていて、まるで宮殿のようにエレガントで美しい市庁舎です。
サン・セルナン聖堂
キャピトル広場からトール通り(Rue du Tar)を北に向かって 5分ほど歩くと、空高く聳え立つ鐘楼が印象的な、サン・セルナン聖堂(Basilique Saint-Sernin)が目の前に現れます。


トゥールーズには、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の路が通っているため、たくさんの教会施設があります。このサン・セルナン聖堂も、巡礼へ向かう人々のために11世紀に建てられた教会なんだそうです。
教会内部へは無料で入ることができます。

内部はとても厳かな雰囲気でした。
ジャコバン修道院
トゥールーズにある数多くの教会や修道院の中で、私が最も気に入ったのが、ジャコバン修道院(Couvent des Jacobins)です。
教会の中に入ると、天井がとても高くてびっくり。

円柱が何本も並んでいて、天井で放射状に広がっている様子がヤシの木のように見えるため、「ジャコバンの椰子の木」と呼ばれています。
教会内部はステンドグラスやフレスコ画、壁の縁取りなどの色合いがとてもカラフルで美しく

ちょっとアラベスクっぽい幾何学模様が使われているのも面白いなと思いました。

そして、この教会の奥には、美しい回廊とお庭があります。

レンガでできた八角形の鐘楼がとても美しいです。

回廊に面した小さなチャペル Le Chapelle Saint Antoninのフレスコ画も見事でした。

ちなみに、ジャコバン修道院は、教会エリアの見学は無料ですが、奥の回廊のエリアの見学は有料となります。
ヴィクトル・ユゴー市場
キャピトル広場から歩いて5分ぐらいのところには、ヴィクトル・ユゴー市場(Marche Victor-Hugo)という大きなマルシェがあります。


トゥールーズではキッチン付きの宿泊施設に泊まっていたので、色々と買いたいものはあったんだけど、観光途中だったので買うのは断念。
でも、美味しそうなものがいっぱいで、見ているだけで楽しい市場でした。
ちなみに、トゥールーズには、このほかにも市場が何か所かありますが、市場はどこも大体午後の早い時間(午後1時とか1時半とか)に終わってしまいますので、午前中に行くのがおすすめです。
トゥールーズのお気に入りエリア
トゥールーズには、アルザス・ロレーヌ通り(Rue d’Alsace Lorraine)という大通りがあって、大手スーパーのモノプリやブランドショップなどが並んでいるのですが、この通りはどこにでもありがちなお店が多くてつまらない。。。
それよりも私が気に入ったのは、キャピトル広場の南側のエリアです。
キャピトル広場の南側には、趣ある細い路地がいくつも通っていて、センスの良いブティックやカフェ、レストランなどがたくさん並んでいます。


古い石畳の道に趣ある建物が並び、散策がとーっても楽しかったです。

また、このエリアから更に南にあるカルム市場(Marché des Carmes)周辺も個性的な飲食店などが多く、面白いエリアでした。

街を流れるガロンヌ川とミディ運河
トゥールーズには、ガロンヌ川(Garonne)という大きな川が流れていて、街の中心部からは、サンピエール橋(Pont Saint-Pierre)とポン・ヌフ橋(Pont Neuf)という2本の橋を通って、ガロンヌ川の西岸へ渡ることができるようになっています。


(注:上の写真、ガロンヌ川の水がめっちゃ濁ってて汚いんですけど、これは、私がトゥールーズに到着する前日に、この地域で大雨が降ったからです。)
ガロンヌ川はスペインとフランスの国境にあるピレネー山脈からはじまり、トゥールーズを経て、大西洋に面したボルドーまで流れています。
17世紀には、トゥールーズを流れるガロンヌ川から地中海までミディ運河(Le Canal du Midi)と呼ばれる水路が建設され、大西洋と地中海をつなぐ交易ルートとして活躍しました。19世紀になって鉄道網が整備された後、ミディ運河は交易ルートとしての役割は終え、今では運河クルーズを楽しむための水路となっています。
ミディ運河の写真は取り損なってしまったのですが、水路の両岸にはプラタナスの並木が連なり、緑豊かで美しい風景を作り出していました。
私がトゥールーズに滞在した時は、残念ながらお天気が今一つだったのですが、天気が良ければミディ運河の水路沿いを散歩するのも楽しいだろうなあと思いました。
トゥールーズのおすすめホテル
今回、トゥールーズでは、ガロンヌ川西岸のサン・シプリアン地区にあるAparthotel Adagio Toulouse Centre La Graveというアパートメントタイプのホテルに3泊しました。

決してラグジュアリーなホテルではなく、宿泊料金は非常にお手頃。でも、ソフィテルやノボテルを経営するACCORグループのホテルなので、サービスやメンテはしっかりとしていて安心。
Airbnbなどのバケーションレンタルとは違い、フロントデスクもちゃんとありますので、チェックイン時間前に到着しても、荷物を預かってもらったりできるので便利です。
私が泊まったのは、1-bedroom Apartment というタイプの客室で、いわゆる1LDKのお部屋です。


広さは35平米なので、決して広くはありませんが、ベッドルームとLDKが分かれているので、使い勝手は良かったです。
キッチンにはクックトップや電子レンジはもちろんのこと、ディッシュウォッシャーもついていたので、とても便利でした。
旅行中は、そんなに大したものを料理するわけではないのですが、やっぱりキッチンがあると便利だし、マルシェで旬のホワイトアスパラガスを買ってきて調理したり、トゥールーズ名物の生ソーセージを焼いて食べたりするのも、キッチン付きならではの醍醐味です。
客室内に洗濯機はないのですが、館内にランドリー施設(洗濯機と乾燥機)があって、有料で使うことができます。(アプリをダウンロードしてクレジットカードで支払います。)
ホテルのあるサン・シプリアン地区は治安も良く、ホテル周辺には、美味しいパン屋さんやマルシェ、シャルキュトリーのお店、スーパーマーケットもあります。
ホテルから街の中心のキャピトル広場までは徒歩約15分と、観光にも便利なロケーションです。トゥールーズは街並みがとても美しいので、私は徒歩で観光しましたが、もし歩きたくなければ、ホテルの近くにはメトロ駅(Saint Cyprien–République)もあります。
おすすめの宿泊施設です。
→ Aparthotel Adagio Toulouse Centre La Grave
おすすめのレストラン Chez Loustic
トゥールーズ滞在中に訪れたレストランの中で、最も気に入ったのが、サン・シプリアン地区にあるChez Loustic というレストランです。

ランチ時だったので、アラカルトはなく、2コースもしくは3コースのセットメニューのみで、前菜・メイン・デザートともに何種類からか選べるようになってました。私たちが選んだのは、前菜+メインの2コースで、確か€23だったと思います。
私の前菜:グリーンピースのヴェルーテとファラフェル

夫の前菜:白身魚のフライ

私のメイン:スペルト麦のリゾット。香ばしくグリルした豚肉が入ってて、美味しかった!

夫のメイン:白身魚を使ったお料理。こちらも手が込んでいて美味しそうでした。

ミシュランのビブグルマンに選ばれていて、かつ、泊まっているホテルのすぐ近くだったので、到着した日のランチに訪れたのですが、お店の雰囲気も良く、サービスもフレンドリーで、お料理もクリエイティブで美味しくて、大満足。
小さめのお店なので、訪れる前にウェブサイトから予約を入れておくことをおすすめします。
→ Chez Loustic
おすすめのレストラン L’ Air de Famille
トゥールーズ滞在2日目、観光の合間にランチに訪れたのは、こちらL’ Air de Familleというレストラン。

キャピトル広場から歩いて5分ぐらいの場所にあるお店で、こちらもやはりミシュランのビブグルマンに選ばれています。
このお店もランチ時はアラカルトがなくて、2コースもしくは3コースのセットメニューのみ。2コースで€24だったと思います。
私の前菜:鴨とピスタチオのテリーヌ

夫の前菜:エビのソテーとビスク

私のメイン:白身魚(メルルーサ)と野菜のグリル

夫のメイン:豚のひれ肉とパールクスクスみたいなパスタ

伝統的なビストロ風のお料理で美味しかったけど、量が多すぎて、夫も私もメインをかなり残しちゃった。。。
こちらのお店は、上の「トゥールーズのお気に入りエリア」で紹介したエリアにあります。この辺りは散策がとても楽しいエリアなので、観光の合間にランチに訪れるのにもってこいのレストランです。
トゥールーズへのアクセスや交通情報など
- トゥールーズへは、パリやリヨンからの国内線の他、ロンドン・マドリード・アムステルダム・フランクフルトなどの欧州主要都市から空路で入ることができます。
- トゥールーズの空港から市内まではシャトルバスも運行していますが、私はタクシーを使いました。空港からのタクシー料金はゾーンごとの定額制になっていて、行き先が町の中心部の場合は、多分ZONE3で€36になると思います。
- 陸路でトゥールーズに入る場合の、主なルートと所要時間は以下の通り。
- パリから鉄道で4時間40分
- ボルドーから鉄道で2時間半
- マルセイユから鉄道で4時間弱
- トゥールーズでは2回タクシーを利用しましたが(到着時と出発時)、タクシーの運転手さんはマナーも良くフレンドリーで、気持ちよく利用することができました。UBERは利用しませんでしたが、大きな町なので、UBERも問題なく利用できると思います。
- トゥールーズにはメトロ(地下鉄)も走っていますが、トゥールーズの町は意外とコンパクトで、かつ平坦で歩きやすいので、町の中心(キャピトル広場)から徒歩圏内に宿泊して、徒歩で観光をするのがおすすめです。
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