メキシコのメリダに滞在した後は、再び飛行機でアメリカ合衆国へ戻り、テキサス州南部のサン・アントニオ(San Antonio)へやってきました。
テキサス州は1690年から1821年までスペインの植民地でした。サン・アントニオは、18世紀初頭に植民地の開拓を進める拠点としてスペインが築いた町。その後メキシコがスペインから独立した際にはメキシコ領となりましたが、間もなくテキサス革命が勃発し、1836年にはテキサス共和国として独立。そして、1845年にアメリカ合衆国の一部となりました。
サン・アントニオはテキサス州で2番目に人口が多い大都市ですが、町の中心部には歴史的な建造物や史跡も多く、スペイン統治時代の文化も色濃く残り、他のアメリカ合衆国の大都市とは一味違った魅力があります。また20世紀に入ってから整備されたサン・アントニオ川沿いの遊歩道にはレストランやバーが並び、徒歩での散策が楽しい人気の観光地となっています。
私は20年ほど前に初めてサン・アントニオを訪れて、この町が大好きになりました。
今回私たちが訪れたのは2月の中旬という真冬だったので、リバー・ウォーク沿いに緑が少なかったのはちょっと残念でしたが、サン・アントニオはテキサス州南部に位置しているので、2月中旬でも日中の気温は25℃以上あり、とても快適に過ごすことができました。また、今回の旅では、前回訪れることができなかった、郊外のミッション・トレイルも訪れることができて、大変楽しかったです。
それでは、サン・アントニオの魅力をご紹介しましょう。
歴史を感じさせる街並み
サン・アントニオの町は、スペイン王の命により、18世紀初頭にスペイン領カナリア諸島からやってきた入植者たちによって築かれました。
カナリア諸島広場(Plaza de Las Islas Canarias)と名付けられた町の中心の広場には、サン・フェルナンド大聖堂(San Fernando Cathedral)が建っています。

大聖堂の西側の広場はプラザ・デ・アルマス(Plaza de Armas)と呼ばれ、スペイン統治時代には軍のパレードが行われていた場所。ここには、1749年に建てられたスペイン総督邸(Spanish Governor’s Palace)が今も残っていて、博物館として内部が公開されています。

スペイン総督邸は、もともとは軍の司令官の住居兼オフィスとして建てられ、その後スペイン総督の住居として使われました。

サン・アントニオの町には、テキサス州がアメリカ合衆国に併合された後に建てられた美しい建造物も数多く並んでいます。


劇場などのレトロな建物も多く、散策がとても楽しい町です。


町の西側には、ヒストリック・マーケット・スクエア(Historic Market Square)と呼ばれるメキシコ市場があり、メキシコの土産物を売る店やメキシコ料理店が並んでいます。

もともとは、スペイン統治時代に主に生鮮食料品などを売る市場として始まったらしいのですが、残念ながら今現在はその当時の面影はありません。

陳腐な土産物を売る同じような店が並んでいて、ここは、サン・アントニオで唯一残念に感じた場所でした。
今回のサン・アントニオ訪問中、興味があったのに行くことができなかったのが、ブリスコー西部美術館(Briscoe Western Art Museum)というアメリカ西部の芸術作品を集めた美術館。丁度、私たちが滞在していた火曜・水曜が休館日だったので、残念ながら見学することができませんでした。
リバー・ウォーク
スペイン統治時代の史跡もサン・アントニオの魅力ですが、それと同じぐらい魅力的なのが、サン・アントニオのリバー・ウォーク(River Walk)です。
サン・アントニオのダウンタウンを流れるサン・アントニオ川沿い遊歩道が設置され、散策できるようになっているんです。

遊歩道沿いには、景色を楽しみながら飲食できるレストランやバー、カフェなどが点在。

サン・アントニオ川は町よりも低い位置に流れているのですが、町のあちこちに設置された階段から簡単にリバー・ウォークへアクセスできるようになっています。

ダウンタウンのリバー・ウォークはループ状になっていて、一周ぐるりと歩くと約4km。リバー・ウォークは、ダウンタウンから更に先にも伸びているので、川沿いを歩いて郊外まで行くことも可能です。
また、サン・アントニオ川には、GO RIO という観光用のリバーシャトルやボートツアーも運行しています。→ GO RIO のウェブサイトはこちら
テキサス独立戦争の史跡 アラモ
アラモ(Alamo)は、世界遺産にも登録されるサン・アントニオ一番の観光名所です。

テキサス革命の戦場となった砦として知られるアラモは、もともとは、1718年にスペインが建てた伝道所で、当時はミッション・サンアントニオ・デ・バレロ(Mission San Antonio de Valero)と呼ばれていました。この伝道所は、先住民をキリスト教(カトリック)に改宗する目的で建てられたものですが、その後閉鎖され、19世紀初頭にはスペイン軍の要塞として使われるようになり、この頃からこの要塞をアラモと呼ぶようになりました。
1821年にメキシコ共和国がスペインから独立した際にテキサスはメキシコ領となりますが、テキサスの独立を目指す人々(主にアメリカ出身の移民)がメキシコに対して武装蜂起し、テキサス革命が起こります。1836年にはアラモを砦として戦うも、メキシコ軍に敗北し、アラモ砦にいたテキサス守備隊は全滅するという結末を迎えました。
ところが、この敗北を機に生まれた「Remember the Alamo(アラモを忘れるな)」という合言葉により士気が高まったテキサス軍は、アラモの戦いから1か月半後に大勝利をおさめ、メキシコからの独立を勝ち取ります。
このようなドラマチックな歴史があることから、アラモには特別な想いを持っているアメリカ人も多く、アラモには多くの観光客が訪れます。ただ、史跡として私が残念だなと感じるのは、かつて伝道所や砦だったエリアの大部分は町の一部として開発されてしまっていて、伝道所や砦だったころの全体像を感じることはできません。今現在も残っているアラモの建物は、教会とそれに隣接するのロングバラックだけ。。。


そして、これだけの歴史を持った場所にしては、博物館の展示内容も若干物足りなく感じます。

ただし、アラモ周辺では今現在大規模な工事が行われていて、かつて伝道所や砦だったエリアを再現しようとしている様子。ウェブサイトを見ると、2028年春には新しい博物館もオープン予定とのことなので、楽しみですね。
ミッション・トレイル
スペイン統治時代、サン・アントニオには、アラモ(ミッション・サンアントニオ・デ・バレロ)を筆頭に、5つのミッション(伝道所)が建てられました。アラモ以外の4つの伝道所はサン・アントニオの町の中心部から南へ5~10kmほど離れたエリアに点在しており、これらの伝道所を巡るルートはミッション・トレイル(Mission Trail)と呼ばれます。
これらの伝道所では、先住民をカソリックに改宗するだけでなく、スペイン語の教育や農業・牧畜・手工芸といった技術の訓練が行われ、先住民は伝道所の敷地内でコミュニティとして生活を営んでいました。19世紀前半には伝道所としての役目を終えましたが、ミッション・トレイルの4つの伝道所は、今現在も礼拝などが行われる教会として機能しています。
ミッション・コンセプシオン
4つの伝道所のなかで、サン・アントニオのダウンタウンから最も近いのが、ミッション・コンセプシオン(Mission Concepción)です。ダウンタウンから5kmほど南にあります。

石とモルタルがむき出しになった部分もあり、教会というよりは、まるで遺跡のような趣。


礼拝堂には椅子が並び、祭壇も美しく飾られており、今も礼拝が行われていることが判ります。

ミッション・サン・ホセ
ミッション・コンセプシオンから3キロほど南にあるミッション・サン・ホセ(Mission San Jose)は、ミッション・トレイルに属する4つのミッションの中で、最も大きく、最も美しい伝道所。ミッションを取り囲む頑丈な塀が今でもしっかりと残っています。

塀の中に入ると、塀づたいに先住民の居住していた部屋が並んでいます。

調理用の窯も再現されていて、ミッションの敷地内での先住民の暮らしぶりを感じることができます。
塀に囲まれた敷地内には壮麗な教会が建っています。

私が訪れた日は、礼拝堂では、お葬式が行われていました。

ミッション・サン・フアン
ミッション・サン・ホセから更に南へ約5キロ、ミッション・サン・フアン(Mission San Juan)は、広い敷地内に、白い漆喰で覆われた素朴な教会が建っています。



先住民たちは農業や牧畜を行い生活を送っていたようですが、疫病や外敵からの攻撃など様々な要因で、他のミッションに比べると伝道所としての成果はあまり芳しくなかったようです。
ミッション・エスパーダ
4つの伝道所のなかで、サン・アントニオの町から最も離れているのが、ミッション・エスパーダ(Mission Espada)です。(サン・アントニオのダウンタウンからは約10キロ)
敷地を取り囲む頑丈な塀や、先住民の住居などの遺構も残っていて、伝道所だった頃の趣がしっかりと残っています。


敷地内に建つ教会は、スペインの田舎町にありそうなとても可愛らしい石造りの教会。


ミッション・エスパーダの北には、伝道所に水を供給するために18世紀中ごろに作られた水道橋も残っており、250年以上たった今も水を湛えています。


これら4つの伝道所は世界遺産に登録されており、サン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園(San Antonio Missions National Historical Park)として保護されています。アメリカ合衆国の国立公園に指定されているところは、入園料がかかるところが多いのですが、これら4つの伝道所の見学は無料です。
車さえあれば簡単に4つの伝道所を周ることができますが、もし時間がなくて1か所しか訪れることができないのなら、是非、ミッション・サン・ホセを訪れてみてください。
→ サン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園のウェブサイトはこちら
サン・アントニオで泊まったホテル
サン・アントニオでは、Element San Antonio Riverwalk というホテルに泊まりました。
Element は、ウェスティン系のカジュアルなアパートメントタイプの宿泊施設。私たちの泊まった客室は電子レンジのみで簡易キッチンのみでクックトップはなかったんだけど、とても清潔で快適。館内には、洗濯機と乾燥機もあって、とても便利。ホテルのスタッフの方たちもとても親切でフレンドリー。
そして、このホテルは、ロケーションが素晴らしいです。サン・フェルナンド大聖堂が建つカナリア諸島広場のすぐ隣にあるんです。リバーウォークへも、カナリア諸島広場から階段を降りるだけ。そしてアラモ砦へも徒歩10分。
おすすめのホテルです。
→ Element San Antonio Riverwalk
サン・アントニオの交通情報
- サン・アントニオへは、アメリカ合衆国やメキシコの主要都市から飛行機でアクセスすることができます。
- サン・アントニオの空港からダウンタウンまでは13キロほど離れており、UBERの利用が便利です。私が空港からダウンタウンのホテルまでUBERを利用した時は21ドルでした。
- サン・アントニオの主な観光スポットはダウンタウンにあり、徒歩で回ることができます。
- 郊外のミッション・トレイルを訪れる場合は、レンタカーがおすすめです。空港だけではなくダウンタウンにも、AVISやBUDGETといった主要レンタカー会社のオフィスがあります。

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