カラサの周辺の見所というと、ダンピア (Dampier) と バラップ半島 (Burrup Peninsula) です。
カラサの町の中心部からダンピアまでは約20キロ。上の地図で見ると、カラサからダンピアまではずっと陸地が続いているように見えていますが、実際にはこの辺り一帯には海水が溜まった塩田が広がっているんです。
なので、カラサからダンピアへと続く道は、遠くから見るとまるで海の上を渡る橋のように見えます。道の両側には、塩田から流れ出した海水が結晶したエリアが帯状に広がっており、地元の人たちは “アンチョビ・フラット” と呼んでいます。
実際の塩田は、写真左側の土手の向こう側にずっと広がっています。この塩田の広がるエリアは、カラサ空港に隣接しているので、飛行機でカラサに着陸する際には、ひたすら続く塩田と、真っ青な海と、真っ赤な大地という、今まで見たことがないような素晴らしい景色を空から眺めることができました。
さて、この塩田が広がるエリアを通り過ぎて、ダンピアの町に到着すると、町の入口には “Red Dog” という犬の銅像が建っています。
この “Red Dog” は、1970年代に実在した犬で、飼い主が死んでから、ピルバラ地方をヒッチハイクしながらあちこち旅をしていたという、ダンピアのマスコット的な犬。この犬の話は “Red Dog” という映画にもなっていて、オーストラリアでは結構人気の映画なんですよね。なかなか良い映画らしいし、ピルバラの景色を映像でも見てみたいので、今度映画を観てみたいな~と思ってます。
ダンピア (Dampier) の町は、バラップ半島の西側にある海辺の町。
明るくのんびりした雰囲気の田舎町で、お隣のカラサの町とは随分雰囲気が違います。
どうして皆ダンピアに住まずにカラサに住むのかしら~と不思議になるぐらい風光明媚な場所なのですが、ま、カラサからはすぐ近くですからね。
ダンピアのビーチも美しいのですが、それよりも更に美しいのが、ダンピアからバラップ半島を少し北上したところにあるヒアーソンズ・コーブ (Hearson’s Cove) というビーチです。
水の透明度が半端じゃない!
そして、このビーチ、なんと、貝殻だけで出来ているんですよ~。
そして、ヒアーソンズ・コーブから少し内陸に入ったところには、ディープ・ゴージュ (Deep Gorge) という渓谷があります。
下の写真の左側に岩が積み重なった山がありますが、バラップ半島にはこんか感じに岩が瓦礫のように積み重なった山がたくさんあります。バラップ半島のこれらの山は、なんと、27億年前に起こった火山噴火によって出来たものなんだそう。
そして、これらの岩には、太古の昔からアボリジニによって描かれたロックアートが数多く残っているんです。
ディープゴージュには約1万個のペトログリフ(岩に傷をつけて描かれたロックアート)が見られるそうですが、バラップ半島全体には50万~100万個ものペトログリフが残っていると言われています。これらのペトログリフは、古いもので2万5千年前~3万年前のもの、新しいものは150年前ぐらいのものだそうです。
ちなみに、バラップ半島の大部分は、このディープ・ゴージュを含め、ムルジュガ国立公園 (Murujuga National Park) となっているのですが、どうやらここが国立公園となったのはわずか2年ほど前のことのようで、今のところトレイルのサインなどは殆どありません。ディープ・ゴージュの場所もちょっと判りにくいので、訪れる前に、カラサのビジターセンターでディープ・ゴージュのマップを貰うと良いと思います。カラサのビジターセンターでもらえるマップには、どの辺りにロックアートが数多く見られるかといった簡単な地図も載っています。
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さて、ダンピアとバラップ半島の美しい自然や太古のロックアートを紹介して来ましたが、実は、ダンピアは、オーストラリアのマイニングビジネス(鉱業)の大手 Rio Tinto のピルバラ地方における積出港がある場所でもあります。
カラサのビジターセンターからは、ダンピアにある Rio Tinto の積出港を訪れるツアーが催行されていたので、参加してみました。
この “Rio Tinto Pilbara Resources Tour” は、カラサビジターセンタ → 塩田の展望スポット → Parker Point → ダンピアのビーチでモーニングティー → East Intercourse Island → Red Dog メモリアル → カラサビジターセンター というコースをミニバスで巡る半日のツアー。ツアーで訪れる Parker Point と East Intercourse Island というRio Tinto の2つの施設は、このツアーに参加しなければ訪れることができないところです。
こちらは、パーカー・ポイント (Parker Point) 。
ピルバラ地方内陸部から鉄道で運ばれてきた鉄鉱石を貨物車から下し、グレードごとに山積みにし、ブレンドして、貨物船に積載して出荷する、という作業がここで行われています。
こちらは、イースト・インターコース・アイランド (East Intercourse Island)。
奥が塩、手前が鉄鉱石。
塩と聞くと、食塩を思い浮かべてしまいますが、ダンピアで作られている塩は工業用の塩。日本にも多く輸出されているそうです。
イーストインターコースアイランドは、島全体が Rio Tinto の施設。本土からはこんな風に橋で繋がっています。
鉄鉱石を運ぶ鉄道は島までは入ってきておらず、本土側で荷下しされた鉄鉱石が橋に設置された大型のベルトコンベアで島まで渡ってきていました。
この場所は、インターコースアイランドの高台になったスポットなので、Rio Tinto の施設だけではなく、周りの美しい景色も見渡すことができました。
向こうに見えるのは、ダンピアのビーチ。
そして、北側には、沖に浮かぶ数々のダンピア諸島 (Dampier Archipelago) も見えます。
この辺りは海洋生物も豊富で、季節によってはザトウクジラや海亀を見ることもできるんだそうですよ。
こんなに自然の美しい場所に、大規模な鉱業積出港があるのはもったいない。。。なんて思ってしまいますが、ここで生活をしている人たちにとって鉱業は生活の糧ですし、またオーストラリアにとっても鉱業は重要な産業ですからね。。。 これからも、この2つがうまく共存していって欲しいな、と思います。
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