インドの車窓から

インド

タージマハルアーグラ城塞などのムガル帝国時代の美しい建造物を紹介して、アーグラは「古都」なんて言うと、京都のような落ち着いた古都を想像しちゃいますが、そこはやっぱりインド。 アーグラの町もカオスで溢れています。

車、トラック、トラクター、自転車、荷台にあふれるほど人が乗ってる軽トラ、詰め込めるだけ詰め込んだオートリクシャ、野菜を売る荷台を押す人、頭の上に大きな荷物をのせた人、そして、牛、ロバ、などなど。。。

交差点では信号もラウンドアバウトもルールなく、ありとあらゆる乗り物・人間・動物が、好き勝手な方向に向かって進む無法地帯。

そして。。。 ゴミの山に群がる豚たち。

インドでは、一般的には、牛肉も豚肉も食べません。

牛は神聖な動物、豚は不浄な動物、と考えられているから食べないのですが、インドの町中では牛や豚をよく見かけます。(道端で普通にうろうろしてます。)

あまりにたくさん見かけるので、ひょっとして、野良牛、野良豚なの?と思ったのですが、どうやら持ち主はいるみたい。

牛は、牛乳を採ったり、荷物運びや畑仕事に使ったり、糞を乾燥させたものを燃料として使ったり、と、肉を食べなくても牛を飼う理由がなんとなく想像できたのですが。。。

一方、豚は、肉を食べないんだったら、何のために飼ってるの???と、かなり疑問だったのですが、どうやら、豚肉っていうのは、カースト制度で最も下の層に属する人たち(主にスイーパーと呼ばれる掃除が職業の人たち)だけは食べることができるので、この豚さんたちはそういう人たちが所有してるんだそうです。。。

インドを旅すると、ありとあらゆるところにゴミがたくさん捨てられたままになっているのを目にします。

自分の家や店の前ぐらい掃除すればいいのに。。。と思うのですが、掃き掃除やゴミ集めはカーストの最下層に属する人たちの仕事だから、それ以外の人は、たとえそれが自分の家や店の前であっても、掃き掃除やゴミを集めて捨てるという作業はしないんだって。。。

店先で談笑するおじさんたち。そんな暇あるんだったら、自分の店の前ぐらい掃除すればいいのに。

ネットでカースト制のことを調べてたら、料理をしていて材料などを間違って床に落としたりしても、料理をしている人が拾って捨てるということはなく、スイーパーが掃除をする、なんてことも書いてあるのを読みました。 果たして、インドの一般的な家庭でもそんなことがあるのかどうかは判らないけど。。。

分業という観念もあるのかもしれないけど、それよりも、「掃除は不浄な仕事」という観念があるらしいです。

オーストラリアなんかだと、人の嫌がる仕事をして成功した移民の人たちがいたりします。 例えば、我が家の隣のホリデーハウスの持ち主は、ギリシャからの移民で、清掃を請け負うビジネスを始めて成功した人です。

インドでも、富裕層やカーストに馴染みのない駐在員家族向けに、「家事一般全て掃除も嫌がらずに請け負いまっせ」みたいな質の高いサービスを提供するようなビジネスを始めたら結構うけるんではないかと思ったりもしたんですが、カーストの観念が根強く残るインドでは、なかなか難しいんでしょうね。

インドは貧富の差が激しいことで有名ですが、裕福な人たちと貧しい人たちの差があることよりも、貧しい家庭(低いカースト層)に生まれた人たちが、いくら才能があっても、いくら努力をしても、自分の属するカースト以外の仕事につく事ができないことのほうが問題のような気がしてなりません。

中国とインドを比較して「中国は共産主義だけどインドは民主主義だから …」という言葉を良く耳にするけど、カースト制度が未だに蔓延っているインドは、共産主義の中国よりも「職業選択の自由」という点では遥かに劣っているんじゃないの?なんて思ったりもします。

インド独特のカオスも、カースト制によって各作業がこと細かに分業されてしまっていることによる非効率、1つの仕事をトータルでコーディネートする人の不在から来ているような気がしてなりません。

さて、アーグラから次の目的地であるジャイプールに向かう道は、比較的田舎道で、いくつもの農村や小さな町を通り過ぎていきます。

途中、この辺りは、粘土の産地なのか、レンガの製造が行われている地域が延々と道沿いに続いていたので、車の窓から興味深く見ていたら、ドライバーのスニルさんが、車を停めて、レンガ造りをしている現場を見せに連れて行ってくれました。

粘土(クレイ)を、型に詰めて、一つ一つ手作りのレンガです。 遠くに見える煙突が、レンガを焼くキルンの煙突です。

こんなに小さな子供もレンガ作りのお手伝い。。。

右側に立っているオレンジ色のシャツを着ているのが、今回7日間ずっと車を運転してくれたドライバーのスニルさん。

自分は兄弟がたくさんいてまともな教育を受けることができなかったけど、自分の子供にはちゃんと教育を受けさせたいから、子供は1人しか持たないと決めてたんだけど、奥さんが2人欲しいっていうから2人いるんだ、なんて話してたスニルさん。 タクシーのドライバーから始めて、独学で英語を勉強して、今は旅行会社で働いているという、真面目で、それでいてユーモアのセンスもあって、とってもいいドライバーさんでした。

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